家は風土が作る

私たちはこの考えに基づいて家づくりに取り組んでいます。
住宅は雨、風、雪、地震と自然から人間を守るものです。
特にその土地の気候風土、自然、環境と密接な関係があります。
自然環境を無視しては、すまいのかたちも間取りも建築材料も考えられません。
自然条件から人間を守るための知恵や工夫を大いに取り込み、夏涼しく冬暖かく住むための工夫を考え方の基本に、健康で明るく安全で安心な家を長持ちさせる工夫を加え、自然の素材で有害物質(VOCなど)による薬害を排した材料と気候風土に合った越後杉など県産や国産材を使った地震に強く、長い年月の間にもメンテナンスのしやすい家づくりを考えています。

長谷川工務店の想い

本物志向の家づくりを目指して

長谷川工務店は設立から50年余り、加茂の地で和風住宅の設計・施工を手掛けてきました。
私が先代から事業を引き継いだのは約30年前のことです。当時、私は先代である父を亡くし、これからの事業の方向性についてどう進むべきか岐路に立っていました。
私たちは創業以来、本物志向の手間ひまかけた家づくりを大切にし、父が健在だった頃はお客様が山で選ばれた木を伐り出し、その木材を使って家を建てていました。会社を引き継ぐことになった私は「このまま父が築いた本物志向の家づくりを継承するか」、それとも「時代の潮流に乗って大量生産のハウスメーカーに転換するか」で悩み、職人たちに相談しました。すると職人たちは皆「今まで通り、手しごとを大切にする本物の家づくりをしていきたい」と答え、私の心も決まりました。
たくさんの家を建てることよりも、一つひとつの工程に心をこめて、じっくりといい家をつくりたい――。
この想いを貫き、今日までお客様の大切な家づくりと向き合っています。

ペンを使って説明している様子の長谷川社長の写真
自社の山の写真長谷川社長が木の板を触っている様子の写真

良質な国産材を適材適所に使う

長谷川工務店が考える“いい家”とは、「良質な素材を活かし、匠の技でつくられた長持ちする家」です。私たちの家づくりの基本は、良質な国産材を使用し、木が持つ特性に応じて適切に使うことです。
「適材適所」という言葉がありますが、これは大工の間で古くから使われる言葉で「建物は適切な木材を適切な場所に使わなければ長持ちしない」という意味からきています。木が育つ場所は木造住宅で使われる場所と重なりあっており、沢筋で育つ栗やヒバは家の土台、尾根で育つ杉や松は上部の重量を支える梁、山の中腹で育つ杉は大引や桁材など上部を支える柱に使います。
適切な木材を適切な場所に使うことは、家を長持ちさせるという上ではとても大事なことです。特に家の骨組みは一度建てたら簡単に取り替えることができないので、初期投資がかさんでも良質な素材を適切に使うことをおすすめしています。

1300年続く伝統技術を取り入れた木造建築

長谷川工務店としては、なるべく日本の伝統技術を使って住宅を建てたいと考えています。その一つである伝統工法は1300年以上もの歴史があり、神社仏閣や古民家などで用いられてきた工法で、木組みという方法で建物をつくっていきます。一般的に住宅で用いられる柱は105ミリ角ですが、伝統工法で使う柱は五寸角(150×150ミリ)か六寸角(180×180ミリ)で、これを使うと通常の8倍も強度が増します。また、壁は土壁であることも特徴です。土壁は地震など外からの力が加わった時に力を吸収するクッション材の働きをします。そのため土壁が崩れることはあっても、伝統工法でつくられた建物は壊れにくい構造になっています。地震が多い日本において、100年以上もの時を経て歴史的建造物が存在しているのは、職人たちの数々の知恵と工夫によって築き上げた伝統技術が今に活きているからです。
私はこれまでいくつもの民家再生に携わってきましたが、伝統工法でつくられた家はどの家も骨組みがしっかりしていて、地域の風土に合った木材を使うことで家の寿命を延ばしていることを実証していました。日本では古材を再利用するという考えが定着していませんが、もちろんそれらは建材としてもとても価値が高いものです。
今は基準法に則った在来工法で行っていますが、一部伝統的な木組みを取り入れた作りも行っています。古民家再生工事では伝統工法で建てられている物件については工法順守で行っております。

長谷川社長がパネルを使って説明をしている様子の写真
長谷川社長が季心里でソファーに座って笑顔で語っている様子の写真長谷川社長と奥様が土間で笑顔で語っている様子の写真

木のもたらす心地良さを室内空間に

木造建築の良さは、耐久性だけではありません。木はご存知の通り空気中の二酸化炭素を吸収し、フィトンチットという癒し成分も放出しています。長谷川工務店では、天井の梁を見せるなど木材をむきだしにして使うことが多々ありますが、天然木からはアルファピネンという成分が出ており、リラックス効果があると言われています。また、木材はコンクリートやプラスチックなどと違って、紫外線を吸収し、目に与える刺激が少ない素材です。木をふんだんに使った室内は、空気をコントロールする調湿効果があり、居心地のいい空間をつくるという面でもメリットがあります。
建材の選択は、建物の寿命を左右するものです。長期的にみてコストを抑えるためには、100年以上持つ家を建てるつもりで、計画段階から耐久性のある良質な素材を吟味する必要があります。

子どもを育てるように、木を育て、家を育てる

家づくりはどこか、子どもを育てることと似ています。手塩にかけて、愛情を注いでつくるほど、家は住む人と職人の心を満たしてくれるものだと信じています。
自社保有の山では12町歩(合計3600坪)の広大な敷地に、越後杉などの木々を育て、50年が経過しました。建材として使えるようになるまであと一歩です。自らの手で大切に育てた地元の木を使って、家づくりができる日を心待ちにしています。
長谷川工務店がお届けする住宅は、「家族がいつまでも幸せに、安心して暮らせる家であってほしい」と願っています。私たちではその想いを込めて、家族が集う居場所にその求心力になるような大黒柱がある家を提案しています。大黒柱は家族が安心して暮らせる家のシンボルなのです。そして、設立から50年が過ぎた私たちも、加茂の地にどっしりと構える大黒柱のように、お客様から安心して家づくりを任せていただける工務店でありたいと願っています。
今、建てた家が100年後、古民家として趣と風情あふれる建築物になっているように。未来に想いを巡らせながら、お客様のニーズに合わせながらも日本の伝統技術を受け継ぎ、今日もコツコツとていねいに良質な家づくりにはげみます。

長谷川工務店
代表 長谷川 一良
長谷川社長が土間で座って微笑んでいる写真